【シンオウ地方編】ポケモン|タウン・シティ由来&英語版調査!古語が由来でかっこいい

2006年9月28日に発売されたゲーム『ポケットモンスター ダイヤモンド』『ポケットモンスター パール』(以下:DP)。

『DP』は「ポケモン」初のニンテンドーDS対応ソフト。そして「ポケモン」初の3Dグラフィック(一部)が使われた記念すべきソフトである。

出典:Pokemon|ポケットモンスター ダイヤモンド・パール
参考:Nintendo|ポケットモンスター ダイヤモンド・パール


毎度おなじみ、ポケモンの世界に登場する架空地方は、現実世界のある場所がモデルとなっている。例えば、「カントー地方」は現実世界の日本の関東地方をもとに、ゲームの世界観が作られている。

【カントー地方編】ポケモン|マサラタウン英語版はパレットタウン!名前や由来を調査

個人的に、シリーズが進むごとに(またリメイクされるごとに)、地域色がより際立ってきているように思う。

今回、ゲームで旅をするのは「シンオウ地方」という架空地方。「シンオウ地方」はキャッチ画像を見て察する通り、北海道と樺太の一部がゲームの舞台となっている。

余談だが、学生時代に北海道1周の一人旅した時、まさに「シンオウ地方」を旅している気分になり、感慨深くなったことを覚えている。


さて。
「シンオウ地方」のタウン・シティ名は、日本語の古語が由来となっている。かっこいい。

ちなみに、「カントー地方」や「ジョウト地方」のタウン・シティ名は日本の伝統的な色が由来に。一方「ホウエン地方」は自然物やいくつかの言葉を組みわせて作ったりと、前作と比べると規則性もなく、自由に名付けられていた。

【ホウエン地方編】ポケモン|タウン・シティ由来&英語版調査!自由すぎる…

今まで日本語のタウン・シティの名前の由来のついでに、英語版のタウン・シティの名前もリサーチしてきた。今回は古語がメインだが、英語版もリサーチした。コチラもついでに楽しんでいただけたらと思う。

ちなみに、「シンオウ地方」は「神奥」が由来で、英語では「Sinnoh」となる。

また、「シンオウ地方」のシンボルとも言える「テンガン山」は、「とくしゅなじば」があることから、以下のように名付けられている。

【テンガン山】
 └「magnet:磁石」
   - 逆から読んで「tengan」
   - 英語版は「Mt. Coronet」で「coronet:宝冠」が由来。


フタバタウン|二葉

【わかばが いぶく ばしょ】
主人公の故郷であり、旅の始まりの地。ゲーム内は、明るめの緑で統一された民家が見られる。

そして、「フタバタウン」の由来となった古語は「双葉|ふたば」である。

【二葉】
 └ 古語
 └「若芽」「子葉」のこと

英語版は「Twinleaf Town|ツインリーフタウン」である。

【Twinleaf】
 └ twin:一対の
 └ leaf:葉

ほぼ直訳のようだ。


マサゴタウン|真砂

【うみにつながる すなのまち】
最初のポケモンを与えてくれるナナカマド博士の研究所がある町。海が近くにあるからか、町の地面には浜辺から運ばれてきた砂のようなモノが見られる。

そして、「マサゴタウン」の由来となった古語は「真砂|まさご」である

【真砂】
 └ 古語
 └ 「細かい砂」のこと

2019年9月撮影|北海道のとある浜辺

英語版は「Sandgem Town|サンドジェムタウン」である。

【Sandgem】
 └ sand:砂
 └ gem:宝石

を合わせた造語になっているようだ。


コトブキシティ|寿

【ひとがつどう しあわせのまち】
「コトブキシティ」は、現実世界の札幌市にあたる大都会。

2019年9月撮影|札幌駅

そして「コトブキシティ」の由来となった古語は「寿|ことぶき」である。

【寿】
 └ 古語
 └「長寿」「祝い」の意味。

英語版は「Jubilife City|ジュビライフシティ」である。

【Jubilife】
 └ jubilant:歓喜に満ちた
 └ life:人生

を合わせた造語になっているようだ。


クロガネシティ|鉄

【エネルギー みなぎるばしょ】
「クロガネシティ」は、夕張市を中心とした空知地区がモデルと言われている。「クロガネシティ」は炭鉱で栄えている設定で、現実世界にあたるこの空知地区あたりも、かつて炭鉱で栄えていたそう。


昭和35(1960)年 選炭工場 昭和26年に新築


昭和40年代 空知会館とズリ山

出典:歌志内市|東光地区(北炭空知砿・空知炭砿)

「クロガネシティ」の由来となった古語は「鉄|くろがね」である。

【鉄】
 └ 古語
 └「鉄」のこと

英語版は「Oreburgh City|オレバーグシティ」である。

【Oreburgh】
 └ ore:鉱石
 └ -burgh:接尾辞(~市:自治都市)
 └ Pittsburgh:「鉄鋼の街」ピッツバーグ

が由来のようだ。


ソノオタウン|園生

【あざやかに はなかおる まち】
「ソノオタウン」は花畑が広がる町。この町に訪れた時は(グラフィックに)感動した…。

「ソノオタウン」の由来となった古語は「園生|そのお」である。

【園生】
 └ 古語
 └「庭園」のこと

英語版は「Floaroma Town(フロアロマタウン)」である。

【Floaroma】
 └ flora:植物相
 └ aroma:香り、アロマ

を合わせた造語になっているようだ。


ハクタイシティ|百代

【むかしを いまにつなぐ まち】
「ハクタイシティ」には、伝説のポケモンである「ディアルガ」「パルキア」の銅像がある。また、地理的に現実世界の旭川に近い。

最初、「ハクサイ:白菜」と勘違いしていた幼き日の私。そのためか「ハクタイシティ」は「祖母が作ってくれる白菜の漬物」のイメージがいまだに消えない。

さて、「ハクタイシティ」の由来となった古語は「百代|はくたい」である。

【百代】
 └ 古語
 └「長い年月」のこと

英語版は「Eterna City|エターナシティ」である。

【Eterna】
 └ eternal:永遠の

個人的に、「長い年月(百代)」と「永遠(eternal)」の「長い時間」という点は共通のように思えるが、「eternal」は「昔から…」の意味より「これから先の未来もずっと…」という未来への視点が強い気がする。一方、「百代」は「昔から今にかけての時間の長さ」を特に表していて、未来への視点がないように思う。


ヨスガシティ|縁

【こころが ふれあう ばしょ】
「ヨスガシティ」は福祉が充実した町のよう。老人や赤ちゃんが多く、様々な年齢、文化(「いぶんかのたてもの」など)が混じっている。位置的には、現実世界の帯広に近い。

そして、「ヨスガシティ」の由来となった古語は「縁|よすが」である。

【縁】
 └ 古語
 └「頼りとするもの」「身寄り」の意味

英語版は「Hearthome City|ハートホームシティ」である。

【Hearthome】
 └ heart:心
 └ home:家

を合わせた造語になっているようだ。


ズイタウン|随

【きままに くらせる まち】
「ズイタウン」は酪農が盛んな町だ。もともと道だったところに人が集まってできた町らしく、まだまだ開発途中なのか、町はデコボコしている。

そして、「ズイタウン」の由来となった古語は「随|ずい」である。

【随】
 └ 古語
 └「気まま」「勝手」という意味

英語版は「Solaceon Town(サーラシオンタウン)」である。

Solaceon
 └ solace:慰め、安堵


トバリシティ|帳

【いしに かこまれた くうかん】
「トバリシティ」が位置する場所は、現実世界の網走市に近い。

2019年9月撮影|網走駅

「トバリシティ」は岩場を切り開いて開拓したような見た目で、道は石で整備されており、段差も多い。「コトブキシティ」や「ヨスガシティ」とはまた違ったタイプの都会で、ジャズ調の音楽が流れている。

さて、「トバリシティ」の由来となった古語は「帳|とばり」である。

【帳】
 └ 古語
 └「室内と外の区切りとする織物(=カーテン)」のこと

英語版は「Veilstone City|ヴェイルストーンシティ」である。

【Veilstone】
 └ veil:覆い、とばり
 └ stone:石

を合わせた造語になっているようです。


ノモセシティ|野面

【だいしつげんと いきる まち】
ノモセシティ民曰く、もともと海だった土地が湿原になり、それを保護するために作られた町らしい。「グレッグル」というポケモンがこの街のマスコット的存在。

位置的には、現実世界の釧路湿原あたりがモデルのようだ。

「ノモセだいしつげん」を走る「クイックごう」は現実世界の釧路湿原を走る「くしろ湿原ノロッコ号」のことだろうか。

もしかして、反対になっています?
 「クイック=quick?:早い」
 「ノロッコ=トロッコ+のろい(遅い)?」

初代ノロッコ号編成(1997年7月23日)
出典:WIKIMEDIA COMONNS

さて、「ノモセシティ」の由来となった古語は「野面|のもせ」である。

【野面】
 └ 古語
 └「野原一面」のこと

英語版は「Pastoria City|パストリアシティ」である。

【Pastoria】
 └ pasture:牧草地


カンナギタウン|巫

【むかしを つたえる まち】
「カンナギタウン」の中央には祠があり、その奥の穴には大昔の壁画が。この町(村?)には、「シンオウ地方」のチャンピオン「シロナ」の実家がある。「シロナ」の祖母はこの町の長老だ。

そして、「カンナギタウン」の由来となった古語は「巫(覡)|かんなぎ」である。

【巫】
 └古語
 └「神に仕える人」という意味

英語版は「Celestic Town|セレスティックタウン」である。

【Celestic】
 └ celestial:天の、神聖な

が由来のようだ。


ミオシティ|澪

【みなもに はえる まち】
「ミオシティ」は、町の真ん中を運河が走る港町。位置的にも、小樽市がモデルでしょう!

「ミオシティ」の由来となった古語は「澪|みお」である。

【澪】
 └ 古語
 └「船の通った跡」「水路」という意味

英語版は「Canalave City|カナレイヴシティ」である。

【Canalave】
 └ canal:運河
 └ lave:洗う

を合わせた造語になっているようだ。


キッサキシティ|鋒

【こおり きらめく ふゆのまち】
「シンオウ地方」の北端に位置する極寒の町。年中雪が降り積もっています。位置的に、現実世界の稚内市がモデルだろう。

稚内に行った時、思わず「キッサキシティ」のことを思い出した。

2019年9月撮影|稚内港北防波堤ドーム

この「北防波堤ドーム」が「キッサキしんでん」にちょっと似ているなぁと思った。

そして、「キッサキシティ」の由来となった古語は「鋒|きっさき」である。

【鋒】
 └ 古語
 └「刀の先端」のこと

英語版は「Snowpoint City|スノーポイントシティ」である。

【Snowpoint】
 └ snow:雪
 └ point:先端

を合わせた造語になっており、規則性は「Veilstone City:トバリシティ」と同じようだ。「日本語の古語の意味に該当する語」+「町の様子を表す語」でできているのではないかと思う。


ナギサシティ|渚

【たいようが てらす まち】
「ナギサシティ」は「ギンガ団」のボス「アカギ」の出身地のため、ギンガ団からの被害はなかったとか。地元愛か。町にはソーラーパネルでできた道が張り巡らされている。

また「ナギサシティ」は、位置的に現実世界の根室市に近い。

2019年9月撮影|根室駅

さて、「ナギサシティ」の由来となった古語は「渚|なぎさ」である。

【渚】
 └ 古語
 └「波打ち際」という意味

英語版は「Sunyshore City|サンショアーシティ」である。

【Sunyshore】
 └ sunny:太陽の、晴れの
 └ shore:海岸

を合わせた造語となっているようだ。


カントー地方から感じる「土地感のないドライな風土」も、それが独特の世界観にもなっていて、でも反対に、シンオウ地方のように風土が豊かに表現されているのも良いですね。

また今回は、土地の特徴とタウン・シティ名がピッタリに合うのも、調べていて気持ちがよかったです。