絵の具で塗ったものが私たちの目には透明に見えたり不透明に見えたりするのは、「光」が関係しています。
[透明の絵の具]
[透明の絵の具]には、例えば「透明水彩絵の具」があります。その他、「アクリル」や「油絵の具」などにも[透明の絵の具]が存在します。
[透明の絵の具]は、塗り重ねによる透明感を生かしながら表現します。ちなみに、色を塗り重ねた時に下地が透けて見える色を「透明色」と言います。
また、例えば「透明水彩絵の具」などの水性絵の具は、水を多めに溶いて、「にじみ」や「ぼかし」のような淡く繊細な表現をするのに向いています。また、[透明の絵の具]には、発色が鮮明なものが多いです。
[不透明の絵の具]
[不透明の絵の具]には、例えば中学校の美術教材で使用する「アクリルガッシュ」があります。これは「不透明水性絵の具」に分類されます。ちなみに、「アクリルガッシュ」の「ガッシュ」は「不透明」という意味です。
その他にも[不透明の絵の具]である「ポスターカラー」を始めとして、油絵の具などにも[不透明の絵の具]があります。
[不透明の絵の具]は、下の層を覆い隠す隠蔽力が特徴的です。こちらは、色を塗り重ねた時に下地を覆い隠す色を「不透明色」と言います。塗りムラが出にくいのでデザインやポスター制作などに向いています。
「透明」と「不透明」の違い
絵の具の原料は、
顔料(=色を帯びた粉)
+
バインダー(=糊、接着剤、展色剤)
でできています。これは水彩絵の具やアクリル、油絵の具といったどの絵の具でも、ほぼ同じ原料でできています。
ちなみに、「水彩絵の具」「アクリル」「油絵の具」と区分されるのは、バインダーの違いによります。
【例】
[顔料]+[アラビアゴム]→[水彩絵の具]
[顔料]+[アクリル樹脂]→[アクリル絵の具]
[顔料]+[ポピーオイル/リンシードなど]→[油絵の具]
そして[透明の絵の具]と[不透明の絵の具]も、顔料とバインダーを原料として使っているのは同じです。しかし、大きな2つの違いがあります。
違い1|絵の具の原料「顔料」と「バインダー」の配合比
色によって、配合比は変わりますが、[透明の絵の具]と[不透明の絵の具]の違いの1つ目は、顔料とバインダーの配合比にあります。
【透明の絵の具】
[顔料]→少ない
[バインダー]→多い
【不透明の絵の具】
[顔料]→多い
[バインダー]→少ない
表面を覆う顔料が少ない場合、顔料の間を光が通過するため透明に見えます。しかし顔料が多い場合、と顔料が表面を隙間なく覆うので、光は反射し不透明に見えます。
また、バインダーが多いとツヤのある画面になり、反対に少ないとツヤ消しのマットな画面になります。
違い2|「顔料」の大きさ
色によりますが、顔料の大きさが[透明の絵の具]と[不透明の絵の具]では違います。
【透明の絵の具】
「顔料」が小さい・細かい
【不透明の絵の具】
「顔料」が大きい・荒い
これも、先に述べた「透明」「不透明」に見える理由に関係しています。
特に、[透明の絵の具]では顔料よりさらに細かい「染料」を使っている場合があります。その場合、染料は「体質顔料」と呼ばれる顔料に着色させたものを[絵の具の顔料]として使用しています。例えば、インディゴ(藍)やカーマイン(紅花)などがあります。