絵の具でアニメーション!「パプリカ」MVの独特な制作方法

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2019年に発表された、米津玄師さん作曲・作詞の「パプリカ」。
また、米津さんプロデュース・小中学生の音楽ユニット「Foorin」(フーリン)の楽曲でもあります。

童謡や日本の風土を感じられるメロディーです。メロディーと独特な調和を見せる、このミュージックビデオ(以下:MV)を作った人が気になり、調べてみました。


『パプリカ』MVの制作者

『パプリカ』YouTubeのアニメーション制作者の欄にも記載がありますが、『パプリカ』のMVは加藤隆さんという方が制作しています。

加藤さんは、大学の授業で海外のアニメーションを見たことが、アニメーションを制作しようと思ったきっかけになったらしいです。

どのように作品を制作しているのか、その過程を取材したものが動画になっていました。

動画を見てとわかるように、「描く→写真撮影→乾く前に上から次の動きを予測したものを描く→前の絵は白の絵の具で消す→写真撮影…」地道な繰り返しによって作品が作られています。

すっごい大変そうだけど、完成した後に絵が動くのを見るのは楽しそうですね…!


アクリル絵具の特徴を生かして

「報道ステーションOP」のMVは、「アクリル絵の具」という水溶性絵具(水に溶ける絵具)を使っているのだと思います。

アクリル絵の具は水の量を調節すれば、不透明色にもなるし、(半)透明色にもなるので、その特徴を生かしながら使い分けているように見えました。色によって、マットになりやすい絵の具とそうでない絵の具もありますが。

しかし、この制作方法は普通の[水性の絵の具]よりもアクリル絵の具の方が、比較的扱いやすい絵の具のように思います。なぜかというと、アクリル絵の具の特徴の一つとして、[水性の絵の具]と同じように水に溶かして描くことができるけど、乾くと耐水性になるからです。

だから、白の絵具で塗り直している場面で、少し下の色が残っているのも、味があっていいなと思ったりします。水を少なめにして不透明にしたり、下に塗った色を塗りつぶしたり、またはマットに仕上げたりすることもできると思います。

『パプリカ』も、アクリル絵の具が(半)透明にもなるという特徴を生かして、下に塗った色の上にセロファン紙をのせるような感じで、影をつけてより立体感を出したりしている感じがします。


使っている色

「報道ステーションOP」と「パプリカ」のMVを見て、「だいだい色」と「スカイブルー」の組み合わせがいいな〜と思いました。

「スカイブルー」のような青系は「寒色」と言い、暗い印象になることがあります。また、青は「水」「空」を連想させる色なので、流動的な色だと個人的に思います。流れるような色なので、時に堰き止め役となる色が必要。

そこで、「だいだい色」のような「暖色」が入り込むことで、きっちりとモノの輪郭が現れる。また、「冷たさの中に生きる暖かさ」も感じることができる、そんな印象があります。

「パプリカ」もその他の作品も、色が鮮やかだな〜と思うのですが、それは、なるべく「混色」ではなく、「原色」を使っているからなのではないかと思います。ここでいう「原色」とは、絵の具から出した色、そのもののことです。

色を混ぜて色を作ると、彩度がどんどん鈍ってきます。「絵具から出たままの色」が、その時点で一番彩度が高い状態なのです。

そのため、「赤」と「黄色」を混ぜて「だいだい色」を作るより、最初からチューブに入っている「だいだい色」を使う方が、彩度が下がりません。

そう、筆の勢いで描かれた形もいいな〜と思うのです。なんか鋭い。だけど、のびのびしています。


話は変わりますが、動画の最後に加藤さんがコメントをしているシーン、自分が表現しているものを言葉を紡いで説明するのが、ちょっとうまく言えない感じが、なんか芸術家っぽいな〜とか思ったりします(自分で言ってなんですが、「芸術家っぽい」ってなんでしょうかね)。

以上、パッとMVを見て思った感想です。まだまだ手描きも捨てたもんじゃないな、と明るい気持ちになります。


おまけ|油絵で描くならどうするか

私がよく使う画材は油絵の具だ。油絵具の特徴として、「乾くのが遅い」というのがあります。上から描いていくこの技法では、絵の具が混じってしまって鮮やかな色を出すのが難しいと思います。

一枚一枚キャンバスを用意して、従来のアニメーション制作のように、少しづつ動きをずらしながら描く。または、半乾きの状態を狙って、加藤さんの制作方法のように上から塗っていく、とかになるでしょうか。

油絵とアニメーションで思い出しましたが、2017年に公開された映画『ゴッホ〜最期の手紙〜』は、なんと6万枚の油絵で構成されているのだとか。

いつか画材を駆使したアニメーションを作ってみたいですね。