世の中には、身内ネタやノロケ話など、時と場合によっては「どうでもいい」「つまんない」「興味ねぇ~」と思う会話がある。その一つに「人の夢の話」があると思う。
聞いて面白い時もあるけど、大抵、私は「ふーん」と思ってしまう。だけど、前半ちょっとだけ私の夢の話をさせて頂きたい。
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なぜかそこまで親しくない仲だった学生時代の同期が夢に出てきた。
何かを忘れたらしく、それを取りにその子の家へ一緒に行った。私が外で待っている時に、その子が「ねぇ」と話しかけ、そして突然前触れもなく異国の言葉を喋りだしたので、私は呆気にとられた。
異国の言葉は英語みたいだけれど、早すぎて聞き取れない。しかし、聞き取れなかったことよりも、私が喋れない英語みたいな言語を、その子がペラペラと喋っているという(夢の中での)事実に、私はショックを受けていた。
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(夢の話は以上だ。ここからが本題)
眠りに入る時、夢に入る時、脳がじわじわと裏返っていく感覚がある。気づかないうちに全部裏返っていて、その時はもうすでに夢をみている段階になっている。
”裏返る”っていうのは、例えば袋を裏返して内側の部分を外側に持っていく感じだ。リバーシブルみたいに裏地が表地と入れ替わる。
いつもは外側にある私の身体は内側へ、頭蓋骨の中にある脳が外側へひっくり返される。そうして、脳が外の世界に晒されるのだ。
厳密に言うと、身体は意識されなくなり、脳に全神経が集中しているかんじ(=ただ夢をみているだけ)。外界に晒された脳は、いろんなものを見せてくる。
深く信じているわけではないが、夢は自分の深層心理を見せてくれることがある、と思っている。夢は、無意識の下に抑制され、蓋で閉じられていた自分の本当の気持ちが、脳が外界に晒された事によって、あらわになるのかもしれない。
夢を見た日、特に印象的だったものに関して、夢占いのサイトでなんとなく調べてみたり、夢に出てきたモノ・人・状況などを思い出して解析し、どういう意図があるのかとか、勝手に推測してみる。
で、そのさっきのの夢の分析はこうだ。
「そこまで親しくない仲だった学生時代の同期」は、私とは違う系統の絵を描いて、「私とは感性が違う人なんだなぁ」と、私はいたって無関心・無興味だったのだが、心のどこかで「この子には絶対に敵うことはない」と思っていたのかもしれない。
それが、「私が話せない異国の言葉(たぶん英語)を話すあの子」という構造になり、無意識下で感じていたその子への「脅威」が夢という形で晒されたのだ、と分析した。
自分の本当の感情、特に醜い感情が白日の元に晒されるのは、自分の中での出来事だが、なかなかに恥ずかしい。しかも、できれば認めたくない。ただ、いつかは認めてあげて、意識を少し改めようと考えてみる。
今回の夢は、もしかしたら、人や人の作品などと自分を比較して、優越感に浸ったり、知らない間に落ち込んだり、良く見せようと自分を大きく偽ったりしていたのかもしれない。人と比べているうちは自分が何も成長できない、ということに改めて気づいてみたり。
「夢」という人の身体の不思議にちょっと感動するのでした。