祖母の話。
叔母達曰く、祖母はかな〜り厳しい人だったらしい。
私が生まれてから一緒に暮らす「おばあちゃん」は、彼女本来の性格ゆえに少し厳しく、でも基本的には温厚で優しく、世話焼きな人というかんじだ。ということは、幾分か丸くなったのかも。
そして夫に献身的で貞節な婦人というイメージが強い。
そんな祖母からはあまり想像がつかなかった、甘ずっぱい青春話を聞いた。
たぶん、祖父に話したことはないのでは?(笑)
男女共学
祖母が10歳の時に第二次世界大戦が終戦。
それまで男女で分けられていた教室も共学となりました。
祖母の席の隣には、地元でもイイお屋敷に住んでいる男の子が座ることに。祖母も含めたほとんどの子は石板をノートとして使っていましたが、その男の子は教科書と鉛筆とノートを持っていました。
ある日、その男の子に
「おいは教科書に書いちゃーことは覚えたけん、こいばやる」と言われて、教科書を見せてもらうように。それからも、その男の子に本当によくしてもらったそうで、本当に面倒見のいい男の子だったようだ。
初めての異性との交流。
男女共学以前は考えられなかったでしょう。
少女時代の祖母とその男の子のやりとりを思い浮かべると、少したどたどしくて、ちょっと居心地が悪くて。初々しくて可愛らしい。
男女グループ
祖母は今も小学校時代の友人達と同窓会を開きます。
今はさすがに集まりも少なく遠出もしませんが、祖母が嫁いだ後くらいの若い頃は、仲が良い男女グループで集まって、映画を観に行ったりしていたらしいのです。
まず、祖母が遊んでいたなんて、にわかには信じられませんでした。
それくらい、きちっとした印象の人だから、男女グループで遊びに…なんてびっくりだ。
秘められた若かりしころのことを語る彼女の顔は、なんだか楽しそうで、幸せそうなのが伝わってきます。
まるでガールズトークをしている気分。
話を聞いてる私も一緒に、胸がほっこり暖かくなった。
おそらく、私は少しほっとしたのかもしれません。
昔の苦労も楽しく語る強い女性ではありますが、私から見たらやっぱり彼女は「色々と苦労してきた人」という印象があります。人生の花盛りの時はおしゃれをする余裕もなく、何もかも我慢して生きてきたのではないか、と。
でも、本人の口から楽しそうに語られるその昔話は、誰にも経験できない、彼女だけの特別な青春でした。