年上のカメさん

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物心ついたときから、私の家には家にカメがいる。

実はこのカメさん、私より20歳以上年上だ。


草亀(?)

ちゃんと調べたことがないので分からないけれど、外来種ではないような気がします。日本固有っぽいというか。

こ〜んなかんじで真っ黒。

私は個人的に、外来種のあのトゲトゲしい色合いが苦手なので…、家のカメは落ち着いた色合いでよかった。


名前がない

そのカメには特に名前がない。
でも、家の中で「カメ」といったら、やっぱりそのカメを指します。

家族間でこういう共通認識があるため、困ったことはありません。

一時期、私たち子供の間で「名前をつけよう」という動きもありました。
「カメ太郎」やら「カメ吉」やら好き放題言っていましたが、結局、名前は定着しませんでした。

いつまでたっても「カメ」は「カメ」だ。


出会い

祖母曰く、私の父が小学生ぐらいの時にそのカメを連れ帰ったそうだ。

道で見つけたらしく、たぶん、車か何かの事故に遭ったのでしょう。
父が助けたときは、後ろ右足をケガしていたらしいです。

そのケガの後遺症で、家のカメは後ろ右足がありません。

でも、三本足で器用に歩き、そして走ります。正直、すごい。


カメは私達のことをどう思っているのか

ずーーーっと家にいるカメだが、私達家族に懐いているのか、懐いていないのか…それは未知の領域。

私が手を近づけると、カメは首を引っ込める。だが、そのまま停止していると、にゅーっと首を伸ばしてきて、チョンチョンっと私の手にタッチしてくる。

そのまま甲羅の方へ指をゆっくり動かすと、カメの首も一緒についてきます。この形は…そう、カメは「イナバウアー」ができるのだ!

また、指をカメの眼の前で動かすと、動きを真似して首をフリフリしてくれる。

こんな感じだが…そもそも、カメって人に懐くのか?


カメと家族のエピソード

祖母から聞いた話で、面白いエピソードがある。

父が子供の頃、カメの甲羅ひとつひとつの枠(?)に、カラーペンで色を塗ったらしい。子供の時の父いわく、

「おい(僕)ん家のカメって分かるように」らしい。

カメの甲羅のど真ん中には、ご丁寧に自分の名前を書き込んだ。

私の記憶の中の父は、真面目な印象しか思い浮かばないため、子供時代の父のエピソードは、私にとっては意外すぎて、笑いのツボである。

カメとは関係ないが、他にも、貼りかえたばっかりの障子に、どどどーん!と、龍の絵を描いたこともあったのだとか。

白い障子を見ていたら、絵を描きたくなったらしい。

祖母はもちろん叱ろうとしたのだけど、もう一度貼り替える気力もなく(あれって大変だもんな)その年は父の描いた龍の障子で過ごしたそうだ。

おとう、やるではないか。
私がそんなことしたら、きっとおとうは、自分の事は棚に上げて叱るでしょうけどね。



私が今までで、記憶に残っているカメとの思い出といえば、カメの家をお掃除しているときに起こったことを思い出す。

お掃除している間、カメはバケツの中で待ってもらうか、庭で遊ばせるかで暇潰しをしてもらうのだが、その日は、目が届く範囲ならいいかな、と思って庭で遊んでもらっていた。

しばらくノコノコ歩いていたカメ。ふいに動きが一時停止…。

は?どうした?と、思って見ていると、

次の瞬間見たことない速さでダッシュ!
カメってあんなに速く走れるんだ!!!!?

と、ビックリした。
すんごい大慌てで走り出したんで、天敵でもいたのだろうか。

ちなみに、カメが走り出したと同時に私も慌ててダッシュして追いかけたため、見失うことはありませんでした。



で、一応、年上のカメなのだ。

カメからするとどうなんですかね。一応、私より年上な訳ですから、年下の奴にいじられたり、「かわいい」って言われるの嫌がってるかな?もしかしたら満更でもないかも?

けっこう長く生きていると思うのですが、体はあんまり大きくない、と思う。だから、私からするといつまでたっても家のカメは「かわいい」対象になってしまう。



カメの水槽は玄関にいつもいる。
そんなカメを見て思うことがある。

例えば、私が生まれて病院から家に帰ってきたとき、入園式、入学式、卒業式、叔母の結婚式、お葬式、成人式などなど…。

カメは静かに、玄関で行われる人間の家族のイベントを、カメ目線で全部見てきたのではないかと思うことがあります。

カメは、家族のようでいて家族から一線おいているような存在。
なんだか、全部を知っているかのように眺めている気がする。
物理的には下から見上げていますが。

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