「西の富士、東の筑波」言われ、富士山と並び称される筑波山。数年前に登ったことがあるが、その時に見かけた「ガマランド」「ガマ洞窟」という不思議な場所が記憶から離れない。今回、つくばに用事があったので、ついでに寄って行くことにした。
つくばセンターから筑波山行きのバスの終点である「つつじヶ丘」に、そのガマランドなるものは存在する。
ガマランドは、1971年に三井谷観光の先先代の社長が作った土産物屋と食堂に併設する形で、先代の社長が作ったものだという。多い時には1日300人ほどの来客があったというが、バブル崩壊とともに客足は激減した。なんだか、「東筑波ユートピア」と似たような状況である。
私の頭の中では『千と千尋の神隠し』の千尋の父親のセリフが再生される。
やっぱり間違いないな。
宮崎駿『千と千尋の神隠し』(2001)
テーマパークの残骸だよ、これ。
90年頃にあっちこっちでたくさん計画されてさ。バブルがはじけてみんな潰れちゃったんだ。これもその一つだよ、きっと。
確かに、ガマランドの遊具はもう壊れているようで遊ぶことはできなさそうだが、ガマ洞窟はバリバリ現役営業(2021年現在)しており、現在はB級スポットとして有名な場所だ。ネット上には、訪問記なるものもたくさんあるので、人気は密かに続いているようだ。
ガマランド
シマウマが乗っている。
たぶん、滝を模したモノだったのだろう。塗装が剥がれてよく分からなくなっている。
ガマ洞窟
ガマ洞窟に入るにはチケット(大人500円/小人200円[2021年現在])が必要。売店にて販売している。購入した時に、「入ったら、扉を押して中に入ってね。戻ってきちゃダメだよ」とお店のおばあちゃんに言われたのが、なんか、怖い。
入り口も強烈だが、扉の先は本当に真っ暗だった。暗闇やお化け屋敷が苦手な人はやめておいた方がいいかもしれない。光源がほとんどなく、何度も言うが本当に真っ暗なのだ。
B級スポットは好きだが、怖いものは怖い。
先に入っていた家族連れは、子供がギブアップしたのか入り口序盤で出ていき、私はガマ洞窟に完全に一人になった。人間、恐怖を感じると感覚が研ぎ澄まされて、些細な音や動きに過敏になる。ガマ洞窟の上は、ガマランドになっており、また登山客の登山道への入り口にも続いているので、意外と人が通るのだが、その足音にビビる。その足音が上を歩いている他のお客さんたちのものだということに気づくのに時間がかかるくらい、ビビっていた。
独り言をブツブツと喋って気持ちを落ち着かせながら、暗闇の中を進んでいく(←お店のおばあさんの言ったことを忠実に守っているのだ)。
早く出たいと思いつつも「この目できちんと見なければ」という、にわかジャーナリスト魂(?)なる、相反する意思もあり、ザワザワした心境だった。
上から人形やらなんやらがぶら下がっている。避けて通りたいのだが、暗すぎてよく見えないのだ。当たる度に、叫び出したくなる衝動に駆られる。
この巨大カエルの横を通って行かないと先へ進めない。心を無にしないと無理である。
出口の光が見えた時の安心感は半端ない。
なんと、(チケットを買った)店内が出口だった。
ポムらの後ろ姿に安心する。
もちろん、ここは筑波山。
下の写真は、夏に筑波山(女体山)に登った時の写真だが、このように関東平野を一望できる場所でもあり、由緒正しき神聖な「筑波山神社」もある。こういう場所に、あんなディープな場所があるのも面白い。
いやはや、ゾクゾクする体験をさせてもらった。「ここを壊さないでほしい」という声も多いらしく、それは私も同感で、この昭和の雰囲気を残したまま、ガマランドを続けていってほしいと思う。