4月も下旬にさしかかろうとしている頃、友人と二人で高尾山に行ってきました。その記録ブログです。
きっかけは、
「山に行きたい」
と、最近仕事が大変そうな友人が、ちょっと遠い目をして言ったこのセリフ。
「じゃァ、行きますか」
気が付けばこう返事を返していたワケですが、考えると私も同じ気持ちでした。3月下旬頃から手術入院し、最近退院したばかりだというのに、仕事や個人的な予定も「ワッ」と立て続けにやってきて、病み上がりの中それらをこなして、終わっていく日々。
かと言って、休日も何かしら予定があって、時間に追われる日々を過ごしていたのでした。
ほんのひと時でいいから、都会の喧騒から離れた場所でのびのびしたい。では、都内から気軽に行ける距離で、山を楽しめる場所と言えば?そう、「高尾山」です!
で、なんだかんだ言って、私も友人も、高尾に行くのは初めてです。あんまり下調べをする時間もなく当日になってしまいましたが、それでも充実して楽しめる場所でした。
いざ、高尾山へ。
京王電鉄高尾線の終点、高尾山口駅。
オシャレな駅舎で驚きました!
なんか見覚えのあるような建築、と思って調べてみたところ、建築家の隈研吾さん(1954/ 昭和29年-)によるデザインでした。そうそう、最近自分の身の回りで見かけた隈研吾さんの建築デザインといえば、「高輪ゲートウェイ駅」があります。あれも、とてもカッコよかったです。
隈研吾建築都市設計事務所|ARCHITECTU|高輪ゲートウェイ駅
ちなみに、今の駅舎には2015(平成27)年4月24日になったとのこと。東京都指定天然記念物である「高尾山のスギ並木」にちなんで、杉を使っているそうです。
隈研吾建築都市設計事務所|ARCHITECTURE|京王高尾山口駅
駅を出てしばらく歩くと、ロープウェイ・リフト乗り場が見えてきます。
「ケーブルカー」で行くか「リフト」で行くか選べて、友人とあーだこーだ話した結果、登りはケーブルカーを使って行くことにしました。もちろん、この地点から登山・ハイキングを始めることもできるのですが、文明の力、使わせていただきました。
ケーブルカーはなんと、1927(昭和2)年に開通したとのことです。戦時中は一時休止していたそうですが、戦後再復活。ちなみにリフトの方は、1964(昭和39年)東京オリンピックの年にできたそうです。当初は一人乗りリフトで、1971(昭和46)年に二人乗りリフトになったとのこと。
どちらも長い歴史がありますが、ケーブルカーの方が先にできていたことに驚きました。
高尾登山電鉄|ケーブルカーの構造と歴史
高尾登山電鉄|リフトの構造と歴史
もう一つ、ケーブルカーがなかなかの急斜面を登っていってることに友人と驚嘆…!最初は普通だったのに、どんどんどんどん角度が急に…。前を見ると、まるで壁に向かって登っているように見えるのです。最も急な所は31度18分あり、ケーブルカーの線路では日本一の急勾配だそうです。
そうこうしているうちに、高尾山駅に到着。
この日はあいにくの曇り。晴れた日には、さらに遠くまで見えるのでしょうね。とはいえ、曇りの日でもこんなにいい景色が広がっているので、ここが頂上かと友人と二人で勘違いをしていました(笑)後で、頂上はまだ先だということに気づきます。
で、ちょっと調べたところによると、高尾山に訪れる多くの人は「1号路」というルートを使うそうです。道も舗装されていて歩きやすく、ビギナーや軽くハイキングを楽しみたい人向けとのことでした。というわけで、今回私たちも1号路を歩きます。
その前に、お昼時なので腹ごしらえ。
この日は肌寒い日でしたので、あったかくて美味しいお蕎麦が身体に染み渡ります…。
そして、デザートに「天狗焼」を頂きます。
外はカリカリしてて、中はホカホカの黒豆餡がギッシリ、モチモチなのです。そしてけっこうボリューミィ。
腹ごしらえもしたところで、頂上目指して歩いていきます。ケーブルカー乗り場から歩いてすぐのところに「さる園・野草園」という施設がありました。
今回は時間の都合上立ち寄りませんでしたが、またの機会に行ってみたいです。
そこから歩いてすぐ、「蛸杉(たこ杉)」がありました。
木の根っこがタコのように曲がっているのですね。道に沿うように、キレイに曲がっているのが不思議です。根っこがこんな風に曲がったのには、このような言い伝え・伝説があるそう。
昔。薬王院へ続く参道を作ろうと、高尾の山に住む天狗たちが道普請(道路工事)をすることに。途中、大きな杉の木があり、参道を作るにはどうやってもその杉の木を切り倒すしかない、ということになった。それを聞いた例の杉の木は、参道の邪魔にならないよう、一晩のうちに根っこを曲げたのです。このことから、「たこ杉」は「道を開く=開運」で開運の御利益がある杉の木として祀られるようになったとこのこと。
面白い話です。蛸杉の、このキレイに参道に沿って根っこが曲がっている様を見ると、一晩で曲げたとかじゃなくても、本当の事のように思えてきちゃいます。このお話以外にも、高尾山には天狗にまつわる伝説・逸話がたくさん存在するみたいです。
たこ杉を過ぎると山門・「浄心門(じょうしんもん)」が見えてきました。ここから「薬王院」の境内のようです。
浄心門、パッと見た感じ、神道のいわゆる鳥居の形には見えないのですが、広島の厳島神社と同じ種類の「両部鳥居」という形の鳥居になっているそう。両部鳥居は神仏習合の神社に多いと言われています。そして、薬王院は仏教の寺院ですが、神仏が混在して祀られているそうです(神仏習合)。
しばらく歩くと、「男坂」「女坂」と二つ分かれ道が見えてきます(私たち、色々と勘違いをおこしてしまい、この坂道を数回登ることになりました^^; 下調べは大事ですネ)。急な階段(煩悩の数の分、108段!)が続く男坂と、なだらかな女坂。「男坂・女坂」は、高尾山に限ったものではなく、各地の寺院や神社で見られるそうです。そして、だいたいは男坂の方が急らしい。
男坂の階段を登り切った先には、「苦抜け門」がありました。もう一カ所、仏舎利塔から男坂へ下る石段の手前にもあります。「苦」の字を意匠にしたこちらの門は、2014年に建立されたとのこと。
この2つの門に挟まれた石段は、「三密の道」と呼ばれています。コ□ナ禍で出てきた「三密」…ではなく、ここでの三密とは、煩悩の元である「身業・口業・意業」の三つの業のことを指します。身=身体、口=言葉、意=心のことで、仏教において、人間の日常生活はこれら三密によって成り立っている、と考えられているそうです。
その先には、仏舎利塔がありました。
友人とは同郷なので、佐賀の江北町にも、山の上に白い玉ねぎのような建物(=仏舎利塔)があったね、と思い出します。私は幼い頃、車の窓から見えるその白い玉ねぎみたいな建物が一体何なのか、ものすご~く気になって、ど~しても知りたくて、法事に来たお坊さんに尋ねたことがあります。それで、お釈迦様のお骨(仏舎利)がある仏塔だよ、と教えてもらったのです。骨があるなんて!と、それでまたびっくりしたものです。
立派な杉の木が並んだ道を通り抜けます。
薬王院の「山門」が見えてきました。
意匠がスゴイです。建物をぐるりと、鮮やかな装飾が施してあります。
奥之院を抜けて15分ほど歩くと、山頂に到達です。
清々しいです。
またケーブルカー乗り場の地点までまたテクテクと戻ります。で、帰りはリフトを使って降りようと思います。
これ、なかなかスリルのある空中散歩でした!乗る時が一番スリルがあり、友人と二人して「ひゃぁ~」だの「ひぇ~」だの声が出ました(笑)
思いのほか、まだ時間があったので、高尾山口駅の近くにある「TAKAO 599 MUSEUM」に行きました。入場無料です。
ミュージアムの名前に使われている「599」という数字は、高尾山の標高。
展示空間がとても素敵です。
季節の見どころ、登山の心得やルート、高尾山の歩き方・楽しみ方、高尾山にまつわる植物や動物の剥製などが紹介・展示されています。
高尾山やこちらの599ミュージアムでマスコット的な存在になっている「ムササビ」の剥製。それを見て、友人が中学校にあったアザラシの剥製を思い出し、その話で盛り上がりました。
中学校の生徒玄関を入ってスグの所に、ちょっとした広場がありました。そこは、学年集会や生徒たちの展示など、時に雨の日は外の運動部の人達がトレーニングをしたりして、よく使われていた空間。その場所に、アザラシの剥製があったのです。そして、みんなその場所を「あざらしの間(ま)」と呼んでいました。
なぜその場所にアザラシの剥製があったのか、なぜアザラシなのか、今となってはよく覚えていません。そして、アザラシの剥製は私たちが中学2年の時だったか、3年の時だったかに、職員室近くの階段のそばに移動してしまいました。
なんてことをこんな所で思い出して、思い出話に花を咲かせちゃいました。今でも、母校ではそこを「あざらしの間」と呼んでいるのだろうか。
ちょっと疲れてきたので、TAKAO 599 MUSEUM の目の前にあるカフェ「TAKAO COFFEE」で一息。
暖かい珈琲と苺のタルト、どちらも美味しかったです。写真にはないですが、ティラミスも友人とシェアして食べました。
高尾山は、お手軽に(と言ったら語弊がありそうですが)、自然を体感できる場所だと思います。古くは信仰対象であった高尾の山々ですが、都会の人々にとっての高尾の自然は、憩いの場にもなっているんだなァと、改めて思いました。
今回利用した1号路の他にもルートがあるので、また機会があったら別ルートにも挑戦してみたいです。
さぁ、明日からまた日常です。
<本日訪れた場所>
・高尾山 薬王院
・高尾山スミカ
・TAKAO 599 MUSEUM
・TAKAO COFFEE