制作との向き合い方、小さな変化

最近、絵を描くのが楽しい。自分の絵を描いてる〜!って感じがする。学生時代より絵を描く時間が減ったにも関わらず、以前よりも精力的に描き続けている。

今回は、最近はなぜこんなにも楽しく、心地よく絵が描けるのだろうと、考えてみた。それはきっと、絵を描いている人が周りに全くいない環境にいるからかもしれない。

もちろんSNS上では、学生時代の友達や絵描きのフォロー・フォロワーさんがいる。けれど、それはSNS空間の中でのお話であって、私が生活を送るこの日常空間の中には、人との関わりはないに等しいのだ。

ではなぜ、絵を描く人がいなくなった環境が心地よいと感じているのか。それは私が、極端に人や作品を自分と比べてしまっていたからだ。いつも人と比較していて、そのためいつも自己肯定が低くて、ある時は比較して人を下に見て、そんな自分が醜く見えた。そして何より、自分の絵を描いていなかった。

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美術系のクラスがあるJKで、数週間だが入試のために画塾に通った画塾生で、受験生で、そして総合大学の大学生で、芸術学部の芸大生だった私。

周りにはもちろん、同じような能力・才能をもった人々で溢れていて。芸大・美大と比べたら、総合大学の芸術学部なんて、小規模・少人数なわけだ。それでも、私の絵と人の絵、自分と他人を比べるには申し分なかった。高校時代もそんな感じ。

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で、もう一つ気づいた事がある。

つい昨日、ある画家さんが自身のブログで、自分がHSP(Highly Sensitive Person : ハイリー・センシティブ・パーソン)だということをカミングアウト(?)していた。

HSPとは、「生まれつき非常に感受性が高く、敏感な性質を持った人」で、病気ではなく「気質」だ。

で、興味本位でセルフチェックしたところ、当てはまった。HSPの度合いとしてはだいたい上の下・中の上、といったかんじの点数。ただ、全く当てはまらないモノもある。だから、そういう傾向がある人、なんだと思う。

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自分のことを知るつもりで、改めてHSPの特徴を簡単に調べてみたのだが、その中に「共感力が高く、心のバリアが薄いため、他人に振り回される・影響されやすく、自分を見失いがち」という特徴があるのを、今回初めて知った。

それで、「わぁ!」ってなった(笑)。 凝り固まった長年の悩みが少し溶けた気がした。今まで、なぜ私はこんなに極端に他人と比較したり、そして他人の影響を強く受けるのか分からなかったし、コントロールできなかった時も多い。

で、自分を見失うのはもう懲り懲りだから、人と仲良くなったり深く話し合うのは、極力避けて生きたかったのだ。

話が少しそれるが、大学院に進学する準備をしている期間、大学1年後半~4年前半くらいの時。

準備を進めるにつれて、だんだんと違和感というか形容しがたいモヤモヤが自分の中に立ち込めていて、「何か違う。というか、この道は避けなければいけない気がする」という強い忌避感に襲われた。

面白いもので、HSPの「見えない力を感じがち」という、なんかオカルトチックな性質があるらしい。不思議。話を戻すと、進学しても悪い意味で環境が変わらないから、

「また、つらいなぁと思いながら絵を描くのかも」
「絵を描くことがこれ以上嫌いになったら、私には何も残らないかも」
「あとなんか今じゃない気がする(未知のウイルスが流行るとかどうとか知らんかったけど)」

という感情・直感があった。言語化できないものもあって、もどかしいけどね。ただ、困ったとこに私はチキンだった。進学・就職の道は、自分が壊れそうな予感(妄想・思い込みだが)がして行きたくないけど、それ以外の道を選ぶ勇気がなくて。わがままやな〜。でも、友達や先生の言葉のおかけで「進学しない」道を後押ししてもらった。

ここで「影響されやすい」という性質を使って、自分がきっと生きやすいであろう方向へ進む勇気をもらったのだと、勝手に思っている。結局、一人になりたいけど多くのの人にこれまた沢山助けてもらいながら私は生きている。

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話が蛇行してしまったが、なぜ最近絵を描くのが楽しいのかという謎は、「やっと完全な一人になって気が楽になった」からだろう。

そして、なぜ一人だと気が楽になるのかというと、「自分と比較する人や作品、影響を与えてくる人や作品がいない・ないから、敏感にそれに反応しなくてよくなった」からだろう。

今まで、「家族」「学校」「美術部」「大学」「芸術学部」…という所属組織にいる限り、一人になれなかった。ここでいう「一人」は物理的な「一人」だけでなく、社会的なものも含んでいる。

今だって、家族や友達、バイト先など、人との繋がりはあるけど、以前より「一人」を感じられるのだ。

つまり「私」を感じられて、「私」でいられる状態。

まるで、子供に戻った気分。好きなように色や線を走らせていた、あの頃のよう。誰もいない、評価する人もいない、管理・監視する人もいない。だから自由に私の絵を描いている。

絵を描くのが辛い、人と比べる自分が嫌だ、などと感じるなら、一度、所属組織から一歩ひいてみて、「自分」を素直に感じられる場所で過ごすといいかもしれないね。

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