一時期、本当に自分の絵が好きになれなかった。
私の周りには、魅力的な作品を作る人がたくさんいた。大学に限らず、世の中に数多くいる芸術家・画家・アーティストを知ることになった小さな田舎町から出てきたばかりの私は、圧倒されていたのだ。そして、いつもどこか焦っていた。
昔から「ハイペースなマイペース」と言われていたほど、なんだか生き急いでいるように見られていた私だったが、それはきっと自分の中にある「理想の自分」と比べてその差に愕然となっていたから。「こんなに差がある。急げ、急げ!」と。
だが、「理想の自分」と言ってる割には自分がそこにはなくて、周りの人達のスゴいところをかき集めて作られた、パッチワークのような人間が「理想の自分」であった。
そして、もがけばもがくほど溺れていくように、真面目になればなるほど空振りしていた。愚直。
でも、ある人の言葉をきっかけに自分の絵が少し好きになった。それできっと、前より自分を認めて、そして許してあげられるようになったのだ。
その人は、「一人ひとりのバックグラウンドが違うのは当たり前。だから成長のスピードが違うのも当たり前」と言った。周りと比べるのはきっとナンセンスなことで、そうしていると自分を見失う。し、見失っていた。
そうして、比べてもいいと決めたのは「昨日の自分」だ。今日も毎日続けようと決めたことができただとか、ちょっと人に親切にできただとか、小さなことでいい。できなくても、失敗してもいい。「まぁそういうところがあっても可愛くていいんじゃない?」と思っている。
作品は自分の分身や鏡や子供…みたいなもんだとよく聞くけど改めてそう感じた今日この頃。